生物進化の理論的解析

生物の進化を理解するためには、実際のサンプリングや実験室における研究だけでなく、理論的研究も欠かすことができません。それはなぜでしょうか。

進化研究の目的には、「どのような仕組みで現在の生物が形成されてきたのか、そのメカニズムを知りたい」、「適応的に見える形質が、いつどこで生まれ、どのように広まったのか、その歴史を知りたい」などがあります。

しかし我々は過去におこったイベントを観察することはできません。そこで現在のデータから進化史を推定します。そのためには、過去におこった進化的イベントと、その結果として観察されるゲノム多様性データを関連づける必要があります。まずは進化プロセスをモデル化し、その進化モデルの下で期待されるゲノム多様性パターンを予測します。求められたゲノム多様性パターンの期待値と実データを比較することで、進化プロセスを推定します。ここで期待パターンを求めるために用いられる理論が集団遺伝学です。

我々の研究室では集団遺伝学の理論を使って、進化モデルの構築や新規解析法の開発、ゲノムデータの解析などを行なっています。


植物の分子進化・集団遺伝学的研究

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種形成機構に関する集団遺伝学的研究

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ゲノム多様性データ解析

進化的イベントはゲノム上に痕跡を残します。例えば対象としている生物種が過去に集団サイズを増大させた場合、特徴的な多様性パターンを残します。祖先集団が分集団に分岐した場合も、特徴的な多様性パターンを形成します

適応進化は有利な突然変異が種全体に広まることによっておこります。有利な突然変異は自然選択の圧力を受け全体に広まります。このときは適応変異の原因となっている変異の周辺に、痕跡が残ります。

このように様々な進化イベントはそれぞれ特徴的な痕跡をゲノム上に残します。逆にこれらの痕跡を解析すれば、進化史を推定できるということになります。しかし異なるイベントが似た痕跡を残すこと、データにはバラツキが大きいことから、実際のデータから推定することは単純ではありません。近年はゲノム配列を取得することが可能になり、ゲノムワイドな多様性情報を利用して統計的に解析することで、従来よりも信頼性の高い解析ができるようになりました。

我々の研究室では、アンプリコンシークエンス法に基づくゲノムデータ解析を行ない、進化史の再構築に取り組んでいます。