系統進化学


質問と回答(6月2日):

とりあえず、質問項目を入力しました。

●共有派生形質、共有祖先形質の見分け方・違いがよくわからない(7)。

└◇あるグループに共通する形質(たとえば鱗を持つ、羽毛を持つ、など)が、共有派生形質か、それとも共有祖先形質かは、起源(系統樹の「根 root」)が特定されている系統樹(有根樹 rooted tree)が推定された時点ではじめて判断できることです。

系統樹の根は、何からの別の根拠にもとづいて、比較している群よりも先に分岐したことがわかっている群(外群 outgroup)を系統解析に含めることによって、決定します。 たとえば、陸上植物(コケ類・シダ類・裸子植物・被子植物)のうち、シダ類・裸子植物・被子植物に共通する「維管束を持つ」という性質については、これら3群の祖先で進化した共有派生形質という可能性と、陸上植物の祖先がすでに持っていた共有祖先形質であり、コケ類ではそれが失われたという可能性があります。どちらが正しいかを決めるには、陸上植物の祖先となった緑藻類を「外群」に加えて、DNA情報などにもとづいて系統解析を行う必要があります。このような研究の結果、現在では、(緑藻(コケ類(シダ類(裸子植物・被子植物))))という系統関係がもっとも確かであると考えられています。したがって、「維管束を持つ」という性質は、共有派生形質です。

●ある1つの形質は、大きなグループ内では共有派生形質であり、より小さなグループ内では共有祖先形質であることがあり得るのでしょうか?

└◇とても良い質問です。答えはyes。

●共有祖先形質(synplesiomorphy)が系統推定上の情報を持たない理由がよくわからない(2)。同一祖先から派生したのならこちらのほうが遺伝の情報を含んでいて、系統推定に役立つ気がするのですが…。 。

└◇ある群Aが単系統群(共通の祖先に由来したすべての子孫を含む群)であることを支持する形質とはどんなものかを考えて見ましょう。その群が起源するときに生じた変化であり、その単系統群のほとんどすべてに受け継がれている形質(共有派生形質)が、これに該当します。その群の起源よりももっと古く進化した形質(共有祖先形質)は、その形質が起源した時点での祖先から由来した群が単系統群であることを支持しますが、群Aが単系統群である証拠には使えません。

●塩基置換がどこで起こっているのか判断する基準は?

└◇とても良い質問です。外群(outgroup:何らかの別の根拠によって、先に分岐したことがわかっている群)を系統解析に含め、有根樹を推定することによって、はじめて判断できます。外群の塩基配列を祖先的とみなし、推定された系統樹の上で、変化の回数がもっとも少なくなるように(最節約的に)、塩基置換を枝(系統樹の枝)に配置します。この作業によって、塩基置換が起きた系統樹上の位置を決めることができます。ひとしく最節約的な配置が複数あって、一義的に決まらない場合もあります。

●系統推定を邪魔する要因、(収斂進化・convergent evolution, 逆転)はどうやって解決するのか?

└◇とても良い質問です。より多くの形質を使うことによって(たとえばより長いDNA配列を比較することによって)、系統推定の信頼度を高めます。収斂や逆転は、信頼度の高い系統樹が得られた時点ではじめて、確かにそうだといえるのです。このような研究の結果から、逆転をおこしやすい形質(たとえばある遺伝子の配列の特定の位置)がわかったら、どの程度逆転を起こしやすいかを考慮に入れて(統計学的には、すべての形質を等価とみなすのではなく、逆転を起こしやすい形質の「重み」を小さくすることで)、系統推定の信頼度をさらに高めることができます。また、最節約法ではなく、最尤法という方法を使えば、最初から逆転の起きやすさを進化モデルに組み込んで、系統推定を行なうことができます。

●共有派生形質を持つ種どうしが相同であって、共通祖先形質を持つ種どうしは相同ではないという意味なのですか?

└◇相同性は形質に関する概念です。つまり、相同かどうかは、形質について言えることであり、種について言えることではありません。

●synplesiomorphyって高校で学んだ相同器官のことですよね?(synplesiomorphy = 相似器官?)

└◇違います。ある形質が共有派生形質か、共有祖先形質かを判定できるのは、その形質が相同である場合に限られます。相似とは、別の形質に由来した、類似した形質状態のことです。相似形質・相似器官を系統推定に用いることはできません。

●単系統と側系統の「共通祖先から由来した全ての子孫を含む」、「共通祖先から由来した一部の子孫を含む」という言葉の意味がよく分かりません。

└◇教科書568ページ、Figure 14-10を見て、よく考えてください。それでもわからなければ、もういちど質問してください。

●例えば、単子葉植物というくくり方をした時、系統樹においていくつもの枝を含む場合が側系統群、単一の枝のみの場合が単系統群という考え方でよいのでしょうか?

└◇同上。

●単系統群は共通祖先から由来した全ての子孫を含む群ということは、側系統も含めて、ある器官についてだけ着目して考えるということですか?

└◇違います。単系統群かどうかは、系統関係の問題です。系統関係(系統樹)を明らかにするためには、特定の器官に限らず、利用可能な情報はすべて使って調べます。

●は虫類においては側系統群であると分かったのですが、魚類・両生類においてはどうなんですか?

└◇教科書568ページ、Figure 14-10右下に図示されているように、魚類は側系統群です。両生類は単系統群です。

なお、全生物の系統関係に関する情報は、Tree of Lifeというウェブサイトで調べることができます。頻繁に更新されていて、最新とは言えないまでも、かなり新しい研究成果が取り入れられています。このウェブサイトのトップページで、カエルの絵をクリックすると、両生類を含む系統樹が図示されます。この図にあるように、両生類(amphibians)は、は虫類・鳥類・哺乳類を含む単系統群と、姉妹関係(系統樹上で2分岐した枝の隣同士の関係)にあります。

●鳥とホ乳類はそれぞれ単系統群でいいんですか?

└◇はい。「鳥+は虫類」という群も、単系統群です。この単系統群が、ホ乳類と姉妹関係にあります。

●ドロメオサウルスが鳥の祖先なのですか?始祖鳥は鳥の祖先じゃないのですか? (2)

└◇教科書553ページ、Figure 14.2を見てください。ドロメオサウルス群と、始祖鳥を含む鳥の群が分かれ、後者の群で最初に分岐したのが始祖鳥、という関係です。

●たとえば魚類と昆虫を比較するときには、ウロコはinformativeになるんですか?

└◇魚類と昆虫を含む動物の系統関係を調べるときには、ウロコという形質は、脊椎動物という単系統群を支持する点で、informativeです。

●双子葉植物が側系統群で、単子葉植物が単系統群であることをもう一度説明してほしい

└◇教科書568ページ、Figure 14-10右中央の図を見てください。双子葉植物(Dicots)の中で、Oldest living angiosperm clades(もっとも古い、現生の被子植物のクレード)とは、マツモ・スイレンなどを含むグループです。これらが分かれたあと、Clades related to magolias(モクレンの仲間に近縁なクレード)が分かれます。単子葉植物(Monocots)は、このグループの根元で分岐しています。「モクレンの仲間に近縁なクレード+単子葉植物」という単系統群と、真正双子葉植物(Eudicots:大部分の双子葉植物)という単系統群が姉妹関係です。このような系統推定の結果から、単子葉植物と双子葉植物という分類をすると、双子葉植物は、共通祖先に由来したすべての子孫を含まない、つまり側系統群だということがわかったのです。

なお、単子葉植物の中で、セキショウの仲間だけは、Oldest living angiosperm cladesに含まれることがわかっています。したがって、単子葉植物も厳密には単系統群ではありません。正確には、「セキショウの仲間をのぞく単子葉植物は、単系統群」と言う必要があります。

●ウシ・シカ・カバ…の系統樹はどこの部分の塩基配列を比較しているのですか?

└◇

●ウシとシカ(Fig 14.4)の例では塩基置換しているところから分類していましたが、塩基1つにおける形質上の相違点は塩基によって差があると思うのですが、どうなのでしょう。

└◇

●figure 14.4 の左の系統樹で7回の塩基置換というのは、クジラにおこった塩基置換は数えないということですか? それとも塩基置換は10回起こっているのですか?

└◇

●Figure 14.4では仮定の数が最も少ない仮説を選択するとなっているが、仮定を考えないで(a), (b) を決めてその後仮定の数を考えているように感じた。Figure 14.4では(a), (b) は何をもとに立てられた仮説なのか。

└◇

●塩基配列を用いて、系統推定をする際には、ある特定の形質についてコードしている配列を取り出して行うのですか?

└◇

●逆転のように同じ塩基が2回も変化しているが変異を起こしやすい塩基などがあるのですか? 

└◇

●最節約原理を用いた結果最も適当な系統樹は遺伝子によるものであると言って良いのでしょうか? 

└◇

●塩基による系統樹は絶対的? 

└◇

●・ 系統樹を考えるとき、仮説の数が同じだった場合、どちらの仮定を選択するんですか? 

└◇

●・ 系統推定に用いる形質で、 @ 互いに独立である(と仮定される)での例 ATTAGC → ACCAGC どういうことですか?  

└◇

●どうして系統樹は2分化するのか? 

└◇

●オッカムのかみそりは何故そう呼ばれることになったのでしょうか? 

└◇

●推定が間違っていた場合、後にどういう点に影響が出るのですか? 

└◇

●絶滅してしまった生物や植物はどの様な系統として分類されるのですか 

└◇

●Figure 14.4 に関する質問:クジラがどのあたりにくるのかDNAの変化で調べるというところで、@でT→Cに変わっているのに、AでもT→C に変わるとはどういうことでしょうか? 

└◇ガチョーン。AでC→TをT→C に書き間違えたに決まってるでしょうが。こういうことは、授業中にその場で聞いてほしいですね。そうすれば、すぐに訂正できるのに。いぢわる。

●Figure 14.4 に関する質問:[figure14.4を示す図]と板書にあったのですが この177T→C(色つき)は逆転のことですか? 

└◇

●Figure 14.4 に関する質問:(a)の所で、177番目のT→Cの変異で [系統樹図示@]は[系統樹図示A]でもいいのかと思ったんですけど、ただの仮説だし、変異の総回数は変わらないからあまり関係ないんですか?  

└◇

●逆転が退化につながることもあるのですか? 

└◇

●どのくらい相違点(器官や塩基など)が認められたら、種として独立したものになるのですか。

└◇次回以降の講義でとりあげます。

●亜種というのは何ですか。

└◇次回以降の講義でとりあげます。

●convergent evolution, reversal, homoplasy のところがわかりませんでした。ひとつひとつの意味がいまいちです。。 

└◇

●塩基配列による系統樹がおもしろかった。外観からでは判断できない経路が見えるようだ。 

└◇

●今日の講義はよく理解できました。この、質問に答えてくれるシステムは非常にありがたいです。 

└◇

●授業は面白いけれど、難しくていっぱいいっぱいでした。 

└◇

●教科書を買ったのですが、これから先、どんな分野に役立ちますか?2年後期や3年になってからの授業でもつかっていけますか? 

└◇

●教科書のコピーは毎回もらえるんですか? 

└◇

●テキストは買いましたが、重いので持ってきてません…。。プリントしてくばってもらえたので良かったです。 

└◇

●高校以来の系統樹だったのでまぁまぁ理解できた。今回の講義の最後の方はどういうことだったのか分からなかった。 

└◇

●もらった教科書のコピーはテスト持ち込み可か? 

└◇