生態学I


質問と回答(1月11日):

とりあえず、質問項目を入力しました。あまりにも初歩的な質問(「遺伝的変異って何ですか」とか・・・)、および、意味がとれない質問は、省略しました。回答は、次回の授業までに少しずつ書きます。

●全体的にわかりやすく、復習のしやすい授業だったので、このままの方法で授業を進めてほしいです。

└◇どうも、おおきに。そう言ってくれたのは、君とあと二人だけだったよ。

●「適応」と「適応度」の違いが分かりずらかった。

└◇とほほ。これまでの授業で何回も説明したのに。「資料」のページの最初のスライドをよく見て、考えてみてちょうだい。「適応度」については、次回以降にまた、説明しましょう。

●キンギョソウの花色への自然淘汰のところで、次世代の中でSsよりSSが少ないのはなぜですか? 種子数は同じなのに。

└◇SSの頻度は、q2/T, Ssの頻度は2pq/T。p=q=0.5という実験設定なので、Ssの頻度はSSの頻度の約2倍になるはずですが、教科書「Evolutionary Analysis」の図に間違いがあるようです。もとの論文で確認中なので、しばらくお待ちください。

●一方的に話を進めるのではなく、理解度を気にしながら説明してくれたのが良かったです。でも、優性度と自然淘汰の関係がわかりません。

└◇「1月11日の資料」のページに解説を書きましたので、よく読んでください。

●優性度が理解できなかった。AがA'に対して優性のとき、

という意味なのですか?

└◇違います。

です。優性・劣性は、ヘテロ接合のときに、対立遺伝子のどちらが表現型により強い効果を持つかをあらわす概念です。

●A:A'=p:qのとき、AA, AA', A'A'=p2, 2pq, q2, のように単純化して良い理由。

└◇ランダムに交配が起きていると仮定しています。たとえば近親交配が起きている場合には、3つの遺伝子型の頻度はこの比率からずれます(ホモ接合が増え、ヘテロ接合が減る)。

●q(0)=0.01, q(0)=0.1というのは、対立遺伝子のことなのですか?

└◇集団中にあらわれた、有利な突然変異(対立遺伝子)の頻度のことです。

●優性度の表、AA=1, AA'=1+hs, A'A'=1+s, は h とsの値が変化するだけで、どんな場合にも適用されるのか。

└◇はい。ただし、hは0と1の間を変化する量です。sはいくらでも大きな値をとり得ます。また、マイナスの値をとることもありますが、この場合にはふつう、sは正の値として、1-sと書きます。A'A'の適応度が1-sなら、A'はAに比べ自然淘汰上不利な変異です。

●優性度のところで、なぜAA'が 1+hs, A'A'が 1+s, になるのかわかりません。そもそも、h と s が何かわかりません。

└◇「1月11日の資料」のページに解説を書きましたので、よく読んでください。

●有利な対立遺伝子が増加するとき、優性の対立遺伝子は、最初は早く増加するが、世代を重ねるについれて、劣性の対立遺伝子に追い越されるのはなぜか、もう一度ていねいに説明してほしい。(同様な質問が、多数あった)

└◇「1月11日の資料」のページに解説を書きましたので、よく読んでください。

●次世代の頻度が、(頻度)×(適応度)/T, となる理由がわかりません。Tとは何ですか。

└◇「1月11日の資料」のページに解説を書きましたので、よく読んでください。

●花粉の持ち出し、持込みの意味がわかりません。

└◇多くの植物は両性花をつけるので、自分の種子を通じて遺伝子を残すと同時に、花粉が他個体に運ばれれば、他個体の種子を通じても、自分の遺伝子を残すことができる。つまり、母親(種子親)にも、父親(花粉親)にも、なれる。両性個体の適応度は、母親(種子親)として残した子供の数と、父親(花粉親)として残した子供の数を足したもの(厳密に言えば、それを2で割ったもの=遺伝子数)である。「花粉の持ち出し・持込み」は、適応度の2つの成分と相関すると考えられる量であり、適応度の指標である。「花粉の持ち込み」数(めしべ上のついた花粉の数)は、送粉昆虫が不足している状態では、「種子数」と相関することが多い。また、「花粉の持ち出し」数は、父親(花粉親)として残す子供の数と相関すると予想される。適応度を正確にはかることは難しいが、このような「花粉の持ち出し・持込」数を使えば、花形質と適応度の関係を近似的に調べることができる。なお、ラン科植物では、花粉が「花粉塊」という塊になっているので、「花粉の持ち出し・持込み」が非常に調べやすい。

●黄花個体の頻度が小さいほど繁殖成功の相対値が高くなっているので、黄花個体の個体数がどんどん増えていくはずだと思うのだが、増えていくのが落ち着くところが平衡頻度になるんですか。

└◇そうです。黄花個体が平衡頻度より多くなると、繁殖成功の相対値(相対適応度)が1より小さくなってるでしょ。この状態では、赤花個体が相対的に有利なので黄花個体は減るのです。

●蜜を出さない野生ランの例で、少数者が有利なのは、よくわかった。しかし、ハチが間違えてよってくることと、自分で蜜を出してハチを呼び寄せることでは、後者の方が楽な気がするのだが、どうなのだろう。

└◇良い質問です。このように疑問に思うことはとても大事。実は、君の質問には、答えが出ていません。以下に述べるのは、私の仮説です。蜜を出さない野生ランの集団中に、蜜を出す突然変異があらわれたとき、他の性質が同じなら、ハチは、蜜を出す個体と出さない個体を見分けるように学習することができません。したがって、「蜜を出す」という性質と、たとえば花の色が相関する必要があります。このような状態に至るには、「蜜を出す」突然変異が集団中である程度の頻度にまで増える必要があります。しかし、蜜を出すためには、光合成産物である糖分を使うので、その分だけ、花粉や種子の生産数が減ってしまうでしょう。したがって、蜜を出す突然変異は、花色などと結びつかない限り、蜜を出さない個体よりも適応度が低く、増えられないのではないでしょうか。

●蜜を持たなければ、訪花昆虫はハクサンチドリ属のこの一種ではなく、別種の花のほうへ行ってしまい、蜜を持たない花には、もう来なくなるんじゃないですか?

└◇たくさんの訪花昆虫が蜜をめぐって競争しているため、蜜を出す植物であっても、花に蜜がない(訪花昆虫が蜜を吸っていったばかり)の花のほうが多いのです。訪花昆虫は、ごく少数しかない、蜜のたまった花をめぐって、競争していると言えます。このような花を探索するために、蜜がない状態の花にも、何度も訪問するのです。

●平衡頻度は具体的にどのようにして求めるのでしょうか。

└◇「繁殖成功の相対値」(y)の「黄花個体の頻度」(x)に対する回帰直線を求めると、y=-0.66x+1.45 という式が得られます。y=1 となる x を計算すれば、平衡頻度を求めることができます。

●ランのところで、赤花のほうが蜜がないことを学習されやすく、子孫を残す可能性が低くなると考えられるにもかかわらず、なぜ白花よりも赤の頻度が高いのか、分からなかった。

└◇どちらの花が学習されやすいかは、頻度によります。頻度が高い色の花ほど、蜜がないことを学習されやすいため、不利になります。上記の方法で求めた白花(黄花)の平衡頻度は、0.68であり、赤花より少し多めです。0.5にならないのは、昆虫に生得的な好みがあるか、あるいは他種の植物の花色の頻度に影響されているためでしょう。

●揺動淘汰というのは、少数が有利になるような淘汰が交互にはたらくことなのですか。

└◇違います。それは、負の頻度依存淘汰。揺動淘汰というのは、最適な状態が時間とともに変動する場合のこと。

●遺伝相関を通じた淘汰について、もう一度説明してほしい。

└◇18日にもういちど説明しました。今度はわかってくれたかな。

●もうすこし手を動かさせてほしい。計算をさせるなど。

└◇18日に早速取り入れました。

●授業のはじめが英語でなければ、今ごろもっとスムースに授業が進んでいたと思います。

└◇ここ数年は、前半は英語で、後半は日本語で授業をしています。英語で授業する方が、科学英語を聞いたり、英語のテキストを読んだりする訓練になります。しかし、授業の速度が遅くなるのも事実です。それぞれに利点と欠点があるので、両方の利点を取り入れたいと考えています。このウェブサイトが充実し、資料やQ&Aを見て予習・復習ができるようになったら、もっと英語を増やしたいと思います。