Diary


2004年12月


14日

基礎生物学研究所の森永真一くんから、「実は、以下の論文を見つけまして、メールをお送り致しました。・・矢原さんが御存じないということはないとは思いましたが、」というメールが届く。

ひぇ〜、知らんかったよぉ〜。森永くん、感謝。早速、pdfファイルをダウンロードして、skim。蛾媒花で、花筒が細長〜くて、蜜がたっぷりで、夜に強い香りを出すPetunia axillarisと、ハナバチ媒花で、花筒が短くて広く、蜜が少なく、香りが弱いPetunia integrifoliaが、どちらも今やモデル生物の仲間入りをしたPetunia hybridaと交配できて、雑種に稔性があって、後代までとれるなんて、反則やんか。Petunia hybridaには、染色体特異的なマーカーがいろいろあるし、形質転換系が確立しているし、何たって、transposon taggingができるもんね。キスゲの強敵・・というより、遺伝学ではかないっこない相手だ。

花筒の長さに関しては、5つのQTLがあり、ぜんぶ別の染色体に乗っている。花蜜量に関するQTLは2つあり、1つは花全体の大きさにも関与している。花蜜中のショ糖とヘキソースの比率に関与するQTLが1個ある(P. integrifoliaではこの比率が低い)。香りに関しては、2つのQTLが見つかった。ハナバチ媒のP. integrifoliaはベンズアルデヒドだけを分泌するが、蛾媒のP. axillarisはこれに加えて、ベンジルアルコール、メチルベンジエイト、安息香酸などを含む複雑な香りを出す。染色体の一部を交配を通じて入れ替える実験から、P. integrifoliaも香り成分を作る基本的な代謝系は持っており、安息香酸の派生物を作るための少数の遺伝子の変化で、蛾媒の複雑な香りが進化したことが示唆された。

う〜ん、いよいよこういう時代になったか。この調子なら、花の香りの進化が遺伝子レベルでわかる日も近いと思う。

矢原研では、蛾媒花のユウスゲと、蝶・ハナバチ媒花のハマカンゾウを交配し、花色・花形態・香り・開花時間などのQTLマッピングを一つの目標にした「キスゲ・プロジェクト」を進めている。形質が分離した実験集団を野外に置いて、ポリネータによる淘汰を実測するのがもう一つの目標だ。Petuniaでの研究は、参考になってありがたい。とはいえ、有力な競合システムが登場してしまったことも確か。うかうかしれられんなぁ。

ちなみに、ペチュニア野生種の探索・分類に関しては、千葉大園芸の安藤敏夫さんの貢献が大きい。


13日

京大生態研センターの辻野亮くんから、ウェブサイトを開設したという連絡があった。早速、「屋久島研究ネットワーク」のページからリンクをつないだ。「矢原さんのトランセクト調査ではシカがどれくらいいるのかという視点が抜けているように感じました.・・トランセクト付近で糞粒によるシカの個体数密度も推定しておくと良いのではないでしょうか.」というアドバイスをありがとう。トランセクト調査では、食痕調査もやっていて、どの調査区で食痕が多いかは把握しています。これに加えて、赤外線センサーカメラによるシカの活動量調査を予定しています。まずはトランセクト調査の調査地点を増やし、食痕調査データを補完する形でセンサーカメラによる調査を行い、希少植物全種についての絶滅リスク評価をします。(「屋久島研究ネットワーク」更新履歴より)

昨日、種生物学シンポの帰路(土浦→上野)では、渡辺名月さんの質問攻めに会う。ノートを片手に、学振の書類の書き方から、モチベーションが低下したときの気分転換法まで、執拗に聞かれた。「研究者として大事な資質は?」→私の答えは、こだわり、好奇心、意地。自分が興味を持った問題に、徹底してこだわり続けられるかどうか、自分が知らないことに好奇心を持ち続けられるかどうか、人まねでない成果を出すことに意地を張り続けられるかどうか、そんなことが案外大事ではないかと思う。「自信を持つには?」→私は、自信なんて、ない。私よりすぐれた研究者はたくさんいる。そういう人と接していると、自信なんてものはとても持てない。でも、生物の世界は、面白すぎる。自分の能力も省みず、いろいろな研究に手を出してしまう。新しい研究を始めるときは、いつも不安でいっぱいだ。でも、始めてしまう。あとは、こだわりと意地で、研究を続けている。


12日

種生物学シンポ2日目。「枝」シンポ3人目の鈴木新くんの講演中。講演は、ロダンの彫刻から始まった。「部分から全体へ」アプローチするためには「急がば枝次数」だという視点をまず提示。芸人度が高い(注:自分のアイデアを上手にアピールできる)人だと感じる。ウェブサイトを検索してみると、「新生児からはじめる樹木生態学」が見つかった。おおっ、昨日から参加者に笑顔をふりまいているあのお方の写真だ。・・・と書いていたところで、スクリーンいっぱいに、恵果ちゃんの写真が・・・。「水分環境(お風呂)によって、可塑性が変わる(笑顔をふりまく)・・・」という振りで、木部の水分通導度の話に。子煩悩まるだしですねぇ。菊沢研で、「研究者に必要なのは、やる気とあつかましさだ」との薫陶をうけ、学位取得の段になると、「君のようにあつかましい人間には学位はやらん」と言われたと、ウェブサイトにある。いまは寺島研で、ポスドクをしているそうだ。

ヒサカキとサカキの比較研究の結果が聞けるものと期待したが、ヒサカキとサカキでは研究内容が違い、結果の比較はできない。いずれも「枝次数」に注目した研究ではあるが、私には「全体」が見えなかった。ちょっと残念。

午後の部。渡辺名月さんの講演「ツル性ヤシ科植物ロタンの多様な形態と成長パタン」で、ロタンらしき植物が木に巻きついている図をスクリーンで見せられ、「一番前の矢原さん、この図はロダンを正しく描いていますか」と聞かれる。「いいえ」と答えると「なぜですか?」とさらに追求された。「よじ登る器官が描かれていない」と即答して面目を保つ。花序をつけたロタンの1種を切り倒して、標本を作ったことがあるもんね。あのときは、登攀器官の棘が痛くて、標本を作るのが大変だった。デカイ花序は、新聞紙の何倍もあって、さばくのが大変だった。

渡辺さんの講演では、ツル性のロタンが、ロゼット段階から、数十メートルの樹上に伸び上がる段階で、どのように形態と資源分配を変えていくかが、わかりやすく紹介された。


11日

種生物学シンポで、東北大の陶山さんから、マイクロサテライトのgenotypingには"Qiagen の Multiplex PCR kit"が抜群に良いという話を聞いた。手間がかからず、多量のサンプルがこなせるだけでなく、今まで増幅できなかったサンプルからも増幅できたという。また、同時に複数の座位がチェックできるので、nullかどうかを容易に、高い信頼度で判定できる。キスゲ・プロジェクトのQTLマッピングには、多量のgenotyping作業が必要なので、朗報だ。

青木誠志郎くんの講演が続いている。マメ科植物側で、根粒バクテリアからのリターン・シグナルを認識する因子(NFR:Nod Factor Recognition)の遺伝子が昨年、同定されたそうだ。早速、scolar.googleで検索してみたところ、Nature 425, 585 - 592に出ていた。根粒バクテリアのnod genesに関する青木君の話が続いているが、「植物とっての共生者であるにも関わらず、根粒バクテリアになぜ宿主特異性が進化したか」という疑問に答えるには、NFRの分子進化に関する分析が欠かせないぞ。この疑問に対する「Y教授」の仮説の説明は不正確だったので、あとで訂正しよう。

根粒バクテリアの中に、「ぼったくり菌」がいるに違いない、という仮説を、駒場にいたころに青木君に言ったことがある。この仮説は、すでにモデル化されている。このアイデアが、最近実証されたそうだ(Nature 425;78-81)。アイデアだけでも、発表しておけば良かった。


10日

種生物学会和文誌編集委員会に参加。発行が遅れていた『植物の生活史』の原稿が揃い、日本生態学会大阪大会までに出版できそうだ。種生物学シリーズ既刊の4冊は、いずれも売り上げが伸び続けている。Amazon.comでの最近の売れ行きは、『森の分子生態学』・『光と水と植物のかたち』・『花生態学の最前線』・『保全と復元の生物学』の順番だ。『保全と復元の生物学』が売れていないわけではない。トレンディな『保全と復元の生物学』以上に、基礎的な3冊が売れているのだ。心強い。6冊目の『雑草の進化生態学』についても、原稿がほぼ揃った。来夏に出版される予定。7冊目の『動く森の生態学』の編集も順調だ。和文誌の単行本化を決めたとき、10冊出せれば、時代を画する事業になると思った。その目標の実現は、ほぼ確実になってきた。


9日

東京行きの機内で、久しぶりにこのページに書く。大学にいると、なかなか日記を書いている暇がない。屋久島滞在中に開設した「屋久島研究ネットワーク」のページについて、メールが毎日届いたので、このページの更新だけは続けた。

今朝は9時半から、12月16日の浜の瀬ダム検討会の資料について、説明を受けた。ダム水没予定地は、絶滅危惧植物のホットスポットである。テキサスと南九州に隔離分布するキリノミタケという変わったキノコの大きな自生地でもある。また、渓流沿いの急峻な地形に残された広葉樹林の枝には、着生植物が群生しており、熱帯の山地多雨林を思わせる景観である。最初に現地を見たとき、この林を水没させるのかと絶句してしまった。

10年に1回規模の渇水に対応できるようにたてられた水利用計画ついて説明を聞いた。この水利用計画によって、農地の生産性が大きく向上するという数字が並ぶ。しかし、現存量が増大した農地で、10年に1回をうわまわる渇水がくれば、被害は今よりも深刻になるのではないか。ぎりぎりの資金で事業拡大をした会社では、資金調達できずに倒産するリスクが増大するはずだ。「10年に1回規模の渇水に対応」という目標設定は果たして妥当なのだろうか。リスクを考えに入れたうえで、「9年に1回」「10年に1回」「11年に1回」・・・規模の渇水に対応する計画のコスト・ベネフィットを計算し、最適な規模を選ぶのが妥当ではないか。


6日

昨日屋久島を離れる予定だったが、午後の便が強風のため全便欠航したため、滞在を一晩延長した。今日の便は、昨日3時半の時点で、3時15分発しか予約できなかったので、今朝7時過ぎに空港に出かけ、空席待ち番号「JGC1番」をとった。9時25分発の始発便に乗れそうだ。

昨日は、レーザー測距計を使って、ツルラン調査区の地形を測量した。前回借りたデモ機は、短距離での測定値が不安定だったので、短距離をより高い精度で測定できる機種(Laser Technology社:IMPULSE)を借りてきた。確かに、短距離での測定値がとても安定しており、これなら使える。ツルラン・標識杭間の水平距離・斜距離・角度が簡単に測定できてとても便利だ。

昨日は、奈良教育大の寺川眞理さんから、屋久島関連の情報が届いたので、屋久島のページを更新し、ついでに屋久島をフィールドにしている植物研究者の紹介を書いた。屋久島は、たくさんの研究者にフィールドとして利用されているが、研究者間の連絡は、必ずしもとれていない。私は、屋久島をフィールドにしている植物研究者については、ほとんど全員を知っている。この機会に、研究者間のネットワークづくりをしたいと思う。

10時09分:鹿児島空港に到着。ケータイでの通信から開放され、モバイルカードが使えるので、雨の日や待合室で書きためたページを一挙にアップロードしよう。。


4日

今日は朝から本格的な雨。西からは低気圧、南からは時ならぬ台風が迫り、大台ケ原で頑張ってくれた高気圧も、さすがに勢力を失い、東に去ってしまった。メールをチェックしたら、12-1月のスケジュール表に新たに予定を記入する必要が生じ、ホームページを更新することにした。


2日

午後2時半ころに、大株歩道入り口にたどりつく。急がねば、明るいうちに白谷雲水峡に戻るのは難しい。大株歩道入り口からウイルソン株まで、駆け足でのぼり、所要時間13分(道標25分、昭文社地図のコースタイム40分)。目的のヤクシマワラビをチェックしたあと、くだりは7分(昭文社タイム30分)。大株歩道入り口から楠川分れまで25分(昭文社タイム1時間10分)、楠川分れから辻峠まで、一気に登りきって23分(昭文社タイム1時間)。東大助手時代の、20分を切った記録には及ばないが、ノンストップでかけ登れたからよしとしよう。白谷林道に、無事5時すぎにたどりついた。曇天だったこともあり、林内はかなり暗かった。

久しぶりに、筋肉痛というものに、なったらしい。


1日

鹿児島空港で、屋久島行きの便の搭乗待ち。サクララウンジのビジネステーブルから、明日屋久島入りする竹中明夫さんに連絡。彼も、三中さん同様に、マメに日記を書いている人だ。11月24日の日記で、私の日記ページ再開を紹介してくれた。私にウェブページづくり再開を強く勧めてくれた人である。今回の再開は、4年目を迎えた新キャンパスゼミで、新キャンパスの生物多様性を解説するウェブサイトづくりを目標に設定したことがきっかけだ。このアイデアは、昔から持っていたが、なかなか実現できなかった。竹中さんの「ささやき」が、潜在意識に残って、私を決断させた可能性はあるかもしれない。

しかし、何よりもモバイルカードを使って、出張先から簡単にインターネットにアクセスできるようになったという事情が大きい。私は大学生協連特約のb-mobileを使っている。年間使い放題契約で、9000円台。お得である。先日の新キャンパスゼミでも、このカードで、ネットにアクセスして、HTMLの書き方、アップロードの仕方などを実演した(なお、このゼミに使う六本松キャンパス新5号館は、無線LANが使えない)。このカードの欠点は、PHSの電波が入らない屋久島で使えないことだ。したがって、5日まで、ウェブサイトの更新は、しない、つもり。そりゃぁ、ケータイから更新するという手はありますが・・・。

なに、「息をしなければ死んでしまうでしょう」(三中日録:11月23日)だって? 少なくとも私は、日記を書かなければ息がつまることはないなぁ。この間、書き続けているのは、出張が多いからですよ。つれづれなるままに書きつらねるのは、待ち時間の暇つぶしにちょうど良いから。記録として役立つし。でも、大学でこんな日記を書いていたら、大学院生・卒業研究生の冷たい視線をひしひしと背後に感じて、それこそ、息がつまりまっせ。


2004年11月


29日

「シカと森」シンポジウムで、屋久島の手塚さんから、臥蛇島にヤクシカがいるという情報をいただいた。早速、この島について調べてみた。臥蛇島は、トカラ列島北部に位置し、口之島の西にある。面積/約4km2、周囲/約9kmの小島だ。昭和45年まで人が住んでいたが、いまは無人島である。人が住んでいたころに持ち込まれたヤクシカが、島に住み着いているらしい。また、トカラヤギもいるそうだ。狭い島で、これらの哺乳類の個体群がどのように維持され、植生にどのような影響を与えているか、興味が持たれる。

Soay sheepのような組織的な哺乳類研究が、日本でも発展してほしいものだ。


28日夜(新幹線車中)

とても意義深いシンポジウムだった。参加する前は、大台ヶ原と北海道と屋久島の話がうまくかみあうだろうか、屋久島から参加するメンバーに参考になるだろうかという不安があった。しかし、「シカと森と人」の関係については、3つの場所で共通する問題が多く、3つのセッションの講演は見事にかみあっていた。このシンポジウムの内容は、参加者が聞いただけではもったいないので、本にまとめるように提案した。オルガナイザーの一人の湯本貴和さんと、シカ問題のブレーンである松田裕之さんに編集をお願いした。福岡に戻ったら、アレンジのダメ押しをしよう。

岩本泉治さん(NPO法人 森と人のネットワーク奈良)の講演がとくに印象深かった。山里の文化、とくに狩猟の文化が、森の生き物たちのバランスに寄与していたという話であった。私も似た話をしたことがあるが、経験に根ざしたものではない。岩本さんは、大台ヶ原の山里で、猟師や修験者の文化とともに育った経験にもとづいて、狩猟の文化の重要性を説かれた。頭で考えた研究者の話と違って、圧倒的な説得力があった。修験者になるには、100種類くらいの薬草を覚えたという話にとくに興味を惹かれ、講演後にぜひ資料がほしいとお願いした。

屋久島から参加された現役の猟師、牧瀬一郎さんの話も、参加者に感銘を与えたようだ。かつて猟だけで生計をたてていた方が、屋久島には50人くらいいらっしゃったという。屋久島での狩猟文化を受けつぐために、猟友会での活動のかたわらで、ご存命の方々に面談を続けられている。一時は島外に散逸した「屋久犬」を島に戻し、「屋久犬」による猟の復活に努力されている。

これらの話題に関連して、パネルディスカッションで、「生活と切り離して文化だけを残していくのは難しい。シカ肉を食品として売れるようにして、狩猟の文化を残していく基盤を作ることが大事だ」という発言をしたときには、会場のあちこちで拍手が起きた。シンポジウム終了後に、「シカの個体数管理に関する合意形成をすすめるうえでは、狩猟の文化を受け継ぐ意義に目を向けることが大切だ」というような内容を、自然再生ハンドブックに書き込んでほしい、というご意見をいただいた。有意義なご意見だ。しっかりと覚えておこう。


28日朝

昨日のエクスカーションは快晴。この日だけは雨の予報だったが、例によって、天気予報に完全勝利。しかし、寒かった。歩道・木道からはずれることができず、参加者の歩みは遅いので、汗が乾くときに体を冷やさないように注意した。山を降りてからの待ち時間には、車内や建物に入って待機。懇親会終了後は、タクシーで宿に戻り、風呂に入って、すぐに就寝。同宿の参加者と交流を深めたかったが、風呂あがりで体を冷やすと、風邪をひきやすい。年をとったというより、体調を崩してはいけないという責任感が強くなったと思う。最近は、研究室で風邪がはやっているが、私は元気である。7時に起きて、パワーポイントのスライドをアレンジした。あと30分で、シンポジウムが始まる。


27日

シンポジウムのエクスカーションで大台ケ原に向けて移動中。夕方まで、携帯も通じないことが多いでしょう。お急ぎの方は、夕方までお待ちください。夜は、KKRみかさ荘(0742-22-5582)。


26日

朝、東京から戻り、午前中は新キャンパス緑地管理WGコアチームの会議。午後、メールの処理などをしていたら、もうすぐ5時だ。発表準備は、新幹線の中だな。講演要旨にリンクをはっておく。プログラム・会場案内は、スケジュール表からリンクした。あとは、講演で使いそうなパワーポイントファイルをメモリーキーに詰めて、出発しよう。


24日

今日の「新キャンパスゼミ」に向けて、「教育のページ」に、過去3年間のレポート集と、今日までに届いた今年の受講生の草稿を載せた。最初の年のレポートが、一番よく出来ているように思う。教官側にそれだけ力が入っていたということだろう。教育は一種の吸熱過程で、High cost→High performanceだと思う。しかし、時間は有限だ。昨日、「教育のページ」作成に時間を割いたために、H君の論文改訂が遅れた。分身の術があれば良いのだが・・・。


23日

0時をまわってから日記を書く日が2日も続く。いかん。

ようやく、教育のページを開設し、「新キャンパスゼミ」の2001年度のレポート集を公開した。24日のゼミでは、このサイトを使って、学生にHTMLエディターの使い方を解説する予定。今年のゼミ後期の目標は、来年10月に新キャンパスに移る学生・教職員向けの解説原稿の作成。今年は、ウェブに草稿をのせながら、改訂を重ねて、完成させていく方法を採用してみようと思う。

京大の東樹君来訪。UC DavisのJohn Gillespie博士のセミナー。

John Gillespie博士は木村資生博士の中立理論に対抗して、変動淘汰理論を主張してきた理論家。攻撃的な人かと思いきや、マイルドで、接しやすい人だった。知人のBrad Sahffer博士が、UC Davisの集団生物学センター長になったとか。UC Davisとは、縁がある。もっと組織的に交流を深めたいものだ。


22日

0時をまわって、22日。今日がしめきりのグラント審査のレポートを自宅でケータイから地球の裏側の某国に送信。便利になったもんだ。昨日は、三中さんから、私のウェブサイトが更新されたのは、サプライズだ、革命的だと、「賛辞」をいただいた。私には、とても三中「日録」のように、毎日書き続ける余裕はないですよ。「日記」を書いている暇があったら、さっさと「論文を見てくれ」「論文を書いてくれ」「グリーンリストのバグとりをしてくれ」「RDB見直し調査結果の入力を進めてくれ」・・・、という声があちこちから聞こえてくるのです。


21日

科学研究の情報専用の検索サイトscolar.googleがとても便利だというメールが届く。早速、Yahara と pollinationで検索してみた。大橋一晴君とCognitive Ecology of Pollination, Cambridge University Press, 2001という本に書いた論文を筆頭に、私が送粉生態学分野で書いた論文がすぐにリストされる。筆頭にリストされた大橋・矢原論文については、cited by 7という表示が出た。この被引用回数は、Web of Scienceと違って、google検索にひっかかる、つまりウェブ上ですぐに見れる論文(雑誌のサイトのアブストラクトなど)に何回引用されたかという数字だ。この数字をクリックすると、大橋・矢原論文を引用している7つの論文がすぐにリストされた。本に書いた論文は、Cambridge University Pressから出たものでも、Web of Scienceでは引用をトレースしてくれないので、これまでどれくらい引用されているかわからなかった。これはとても便利だ。そのほかにも、さまざまなリンクが貼られているので、「Yahara」「pollination」のキーワードにつながる電子情報は、完璧に把握できる。カナダ留学中の大橋君のウェブサイトにもすぐに行けて、久しぶりに彼の元気な笑顔が見れた。知らなかった論文もいくつか見れたし、pdfファイルがダウンロードできるものまであった。研究者にとって、これは情報スーパーハイウェイだ。


20日

久しぶりにウェブサイトの更新をはじめた。最後の更新は2003年4月22日だから、1年7ヶ月ぶりだ。4年前から行なっている全学共通科目の少人数ゼミナール「新キャンパスにおける生物多様性の保全」(タイトルは毎年少しづつ違う)の今年の後期の目標として、新キャンパスに移る学生・教職員に向けてのウェブサイトを作ることにした。前回のゼミで、HTMLの初歩の初歩を教えたが、2年近く使っていないと、自分でもかなり忘れている。

以前に使っていたHTMLエディターは、もうかなり時代遅れになっていたので、ez-HTMLをダウンロードした。まだ使い慣れないが、新しいものを面倒くさく感じるようでは年だ。使いこなそう。

当面の重要課題:グラント審査(海外、22日まで)。H君、Oさんの論文原稿改訂。11月28日開催のシンポジウム『シカと森の「今」をたしかめる』の講演準備。