テン

 

テン↓

植物の種を含んだテンの糞↓

あたかも地上を駆けるがごとく、樹上をしなやかに、俊敏に移動する姿はまさに忍者です。木登りが非常に得意で、数メートルの距離なら隣の木にジャンプできるほど身のこなしが軽く、高度な「狩り」の技術を持っています。胴長、短足でありながら鋭いかぎ爪と柔らかくて幅広の足がこれらの動作を可能にしているのです。このように樹上空間を積極的に利用するため森林を生活空間としています。

日本にはテンとエゾクロテンの2種が生息し、テンにはニホンテンとツシマテンの2つの亜種がいます。ニホンテンには冬毛が黄色のキテンと褐色のスステンがいますが、遺伝的な差異はなく、さらなる研究が求められています。九州と本州にはキテンが生息し、もちろん九大新キャンパスにもキテンが生息していると考えられます。

テンの好物は甘い果実類で、中でも柿には目がないようです。秋から初冬にかけて柿の種を含んだ鉛筆の半分くらいの大きさの糞を見つけたら間違いなくテンのものでしょう。柿だけでなくイヌビワ、アケビ、桑などの実もよく食べます。このように糞を調べるとニホンテンは年間を通じて植物質が87%、うち果実が80%にも及んでいるという報告があります。動物質は高度な「狩り」の技術を必要としない昆虫、両性、爬虫類が多いようです。しかし、エゾクロテンの場合は85%が動物質で、主にヤチネズミやアカネズミの出現率が圧倒的に多いのです。こうしてみるとテンがどう猛な肉食動物であることがわかるでしょう。  

テンの繁殖については未解明な部分が多いのですが、繁殖期にオスがあお向けになって寝転んだまま、のどを見せながらメスに近づいていくというディスプレイ行動(求愛行動)をとることが知られています。2〜3月の夜、雪上と樹上とを追っかけ合いながら細い木の枝でアクロバットのようにからみ合ったり、雪にもぐってかくれんぼをしたりと目まぐるしいディスプレイ行動が見られるようです。  

エゾクロテンは保護獣、ツシマテンは国定の天然記念物として狩猟が禁止されていますが、ニホンテンは良質な毛皮を目的に年間約8000頭が犠牲になってきました。さらに、自動車道路網の発達にともなうロードキルや、自然林の伐採によって確実に生息状況が悪化してきています。観察者の衣服がこすれる音にも敏感に反応するほど神経質な動物であるテン。林床の植生が乏しいスギ、ヒノキの人工林ではなく、休憩場所となる老齢樹や、餌場が豊にあるような九大新キャンパスを維持していく努力が求められています。


体形   体長:頭+胴=45〜50cm  尾:17〜23p   体重:0.5〜1.5s


   直径:1cm  長さ:5〜8cm


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