イノシシ

 

イノシシの足跡↓

 「嫁に行くならば、イノシシのいないところへ」という言葉はイノシシによる農作物の被害の大きさを語っています。下生えが多く、隠れ場所があり、えさも豊富にある里山は、イノシシにとってすみよい環境です。そのため、里の農作物に手を出すことも多く、農家の苦労は絶えません。古タイヤを燃やしていやな臭いを出したり、電機柵で囲んだりとイノシシ対策はあの手この手に及んでいます。イノシシとの戦いは古く、昔は何kmもの猪垣(シシガキ)という石垣を山に築き、里にイノシシが下ってくるのを防いできた歴史が各地に残っています。

 害獣として憎まれる一方、イノシシは時に重要な栄養源、あるいは山村の貴重な現金収入源でもありました。こうした矛盾した関係を持ち続けてきたイノシシは、古くは縄文時代から半飼育化の歴史が残っており、現在でもシシ肉はボタン鍋などの美味しい食の材料として用いられています。

 イノシシは毎年春に横しま模様の「ウリ坊」と呼ばれる子供を生みます。イノシシは多産で、一度に2〜8子を出産します。多産のため子供の体は小さく、離乳する3〜5ヶ月までに約半分に減ってしまいます。

ユニークな行動として泥浴びが知られています。「ぬた場」と呼ばれる粘土質のぬかるみでの泥浴びは、寄生虫駆除やにおいによるコミュニケーションの役目があります。また、汗腺をもたないため体温調節の役割も果たしています。

 特徴的な鼻は、鋭い嗅覚を備え地中にある食べ物を掘り出すのに役立ちます。イノシシは雑食性で、何でも食べますが、ほとんどが植物食です。大好物はドングリで、秋にはシイやカシの林によく現れます。

 狩猟によって毎年7万頭ものイノシシが捕られていますが、繁殖力が強いため絶滅の心配はされていません。九大新キャンパス内でも害獣駆除という形で毎年10頭が捕獲されていますが、それでも次の年にはまた確実に10頭は捕れるという状況です。また、全国各地で野ブタとの交雑が確認され、イノブタと呼ばれる雑種が増加しているようです。イノブタは年に2回出産するためイノシシよりも繁殖力が強く、イノシシと間違えられている可能性もあります。このため、イノシシの数がいっこうに減らない思っていても、実はイノブタが増えているだけで、イノシシ自体は姿を消してしまっていた。というようなことも起こりかねないのです。さらに深刻なことは、イノシシの遺伝子汚染が進むことにあります。

 農作物への被害などマイナスの面が強調されることが多いイノシシですが、狩猟技術の発達、道路整備のよる生息地の分断などによって地域的な絶滅も起こっているようです。目先の被害にとらわれることなく、その種をとり巻くすべての環境を視野に入れて付き合っていくことが大切だといえるでしょう。


体形   体長:頭+胴=約140cm  尾:約30p  体重:75〜190s


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