スズメバチ



スズメバチはこの国内でも最も恐れるべき昆虫のひとつです。 たった1匹のハチでさえ人を死に至らしめる怖さがあります。 最近ではその被害も増えているようです。それは、山林などが宅地開発されたことにより 生活の場を失われたスズメバチが都市の中にも巣を作るようになったからです。元岡キャンパスにもスズメバチは います。スズメバチに接する機会もふえるかもしれません。
元来、人間とスズメバチとの関係は、紀元前3100年頃に古代エジプトの初代王であるメネスが スズメバチに刺されて死んだことが墓碑の所に象形文字で刻まれていることが発見されています。 (文献より)したがって、スズメバチと人間の関係はずっと大昔から共存してきていることが分かります。 そこで現在の所はスズメバチのことを人間が嫌って邪魔者扱いにされているのです。なぜ? あなたはどのように思っていますか?
スズメバチの刺傷で毎年数十人を下らない死者が出ているのは紛れもなく事実です。 ハブやヒグマなど,人間の生命に危険を与える生物は他にもいます。しかし生息地は限られており、 ヒグマなど昨今では出会うほうが難しいのではないでしょうか。 一方、スズメバチは全国どこでも見られ、住宅地での発生すら問題になっています。
スズメバチの本来の生息場所は雑木林の中です。大きな開発事業を打ち立て、 スズメバチの生息場所である雑木林などを滅茶苦茶に破壊をして、 本来の自然系を変えてしまったのが大きな一つの要因に挙げられています。 スズメバチからすれば元々生息をしていた所に何らかの原因でその生態系が変わってしまい、 そこに住宅や大きな建物などが建ってしまっても、本来の生息していた所は彼女らは認識を絶対に忘れていません。 したがって、一旦はそこから追い出されてしまっても、数年後には必ず舞い戻ってくる 習性が本能的にスズメバチにはありますので、住宅やその周囲に巣作りをしてきます。

スズメバチについてはマスコミでも毎年のように取り上げられているせいか、かつてよりも情報量は多くなったようです。 そこでスズメバチのことをよく知っておきましょう。 スズメバチに関する知識って、結構誤解されていることが多いのですよ。 この説明を読んでへぇ!と思っていただければ幸いです。

スズメバチの1年間
スズメバチの一年間基本的にスズメバチはその地域によっても活動内容は北海道や沖縄地域を 除いてはさほどの違いはありません。
基本的には一番最初に女王バチが誕生して一匹で(!)初働きバチたちの巣作りをして、 卵を産み付けて1ヶ月以上の期間をまってから働きバチが誕生してきます。 働きバチが誕生すると巣の状況も急に忙しくなり、自分の兄弟や女王バチのために 一生懸命に巣作りに励み、巣を大きくします。
巣が大きくなると女王バチは自分の子孫を残すために準備をして9月下旬頃から来年の 新女王バチやオスバチを誕生させます。そして、10月中旬以降は今活動をしていた女王バチは この世から去っていき、来年のための子孫繁栄のために新女王バチが栄養を充分に蓄えて早いハチで 新女王バチとオスバチが温かな午前中の空中などで交尾をします。 そして、冬眠に入って来年の暖かい時期になるまでじっと動かなく眠ります。
これがスズメバチの一年間の主な活動内容です。

スズメバチの生態
スズメバチはミツバチの仲間であるというのは誤解です。 両方とも大きな巣を作って暮らしていますが進化の歴史から見ると両者の関係はずいぶん遠いものです。 ミツバチは幼虫の餌に、花粉や蜜を与えますが、スズメバチの仲間は、 いろいろな昆虫を肉だんごにして巣に持ち帰ります。 だから、スズメバチは巣に蜜をためることはありません。 同じ肉食のカマキリもいろいろな虫を捕まえますが、スズメバチに捕まると食べられてしまいます。 スズメバチが蜜を舐めにやってくる花には、アブやハエ、他のハチなどが蜜を舐めにやってきます。 そのためスズメバチにとって幼虫の餌を狩る場所にもなっています。
スズメバチの巣はどんなに大きな巣でも秋になると空になり、翌年再利用されることは、少なくとも日本ではありません。 母バチが1頭でまた一から始めるのです。ちなみにこの母バチがいわゆる女王バチですが、 このことばのイメージとは異なり、春先の女王は自分だけで巣作りや子育てをすべてこなします。 ちなみにこの時期の巣は小さく、女王は攻撃性がほとんどないので駆除されやすいです。
また、「ミツバチは一度人を刺すと死ぬ」と言われますが、スズメバチはそうではありません。 ミツバチの毒針には、釣針ような「かえし」がついているので、刺した針は腹部の末端から 敵の体の残るためハチは死にます。しかしスズメバチの毒針はそうした構造をしておらず、 刺した相手から抜けやすいのでハチは死にません。
なおスズメバチの仲間は世界で約60種、日本からは16種が知られています。

話がそれますが、彼らの狩る餌の量がどれくらいなのか、単純計算してみましょう。
スズメバチの大きな巣では、年間約1万頭ほどの働きバチが生まれます。 その寿命は平均1か月、野外で働く期間を20日間とします。
彼らが1日当たり50頭の餌を狩ったとすると、巣全体の働きバチが年間に狩る餌数は、 50×20×10000=一千万! このうち「害虫」の占める割合がどの程度かは、一概には言えませんが、 捕食性天敵としての彼らの役割を注目させるに足る数字でしょう。
オオスズメバチのオスバチが高層ビルの屋上付近を集団で飛び回ったり、ムクゲの木に集団で集まるなど、 今まで知られていなかった行動が市内で見られています。 オオスズメバチの行動にはまだよく分からない点がたくさんありそうです。

スズメバチから身を守る方法
スズメバチに襲われた場合は、地面に張り付いて動かないように!ハチが諦めて帰るまで待ちましょう。
逃げるときは目を隠して逃げること。スズメバチは目を狙って襲ってきます。
ハチは2キロ程度も追いかけてきた記録もあるので、完全に引き上げるまでは安心しないで下さい。
ハチは長い髪に寄ってきやすいので、来たらスカーフ等で隠すこと。
実はハチで刺すのはメスのみなんです。ご存知でしたか?
人が刺されて死ぬのはハチ毒成分のせいというより、アレルギー性のショックによるものです。 ハチ毒アレルギー体質の人では,過去に刺されたときに体内にできた、ハチ毒に対する抗体が、 2度目に入ったハチ毒に過敏に反応して血圧低下その他の症状を起こすので危険です。 ハチ毒自体に溶血その他の生理作用があるのは確かですが、1、2か所刺されたくらいの毒量では (たいへん痛いのは確かですが)命に別状ありません。
それから「ハチに刺された時にはアンモニアをつけろ、小便をつけろ」 とよく言われますよね。 これは「神話」と言ってよいほど根強い誤解で、スズメバチの毒液はほぼタンパク質からできており、 ほとんど中性に近いので、アンモニア(アルカリ性)で中和しようとするのは無駄です。 ただし、ブユとかアブなどの毒は酸性が多く入っていますから、アンモニアで分解するので効き目があります。
刺された場合は抗ヒスタミン軟膏を塗り、氷か水で冷やして下さい。 すぐに口で毒を吸い出すのもいくらか効果があります。
それと2回以上刺されると危険というのは全くの誤りではないですが、誰もが花粉症にかかるわけではないのと同様、 ハチ毒アレルギーを持つ人は人口のごく一部です。普通ならば、刺されるほど症状が軽くなるようです。 例えば某スズメバチ研究者は、わざと刺されて、「免疫をつけ」ていたそうです。 しかし刺された後に全身のじんましん、腹痛、めまい、意識がもうろうまたは不明、 呼吸困難などのような症状が出たらアレルギーショックである恐れが強いのでただちに医師の手当が必要です。 ハチ毒アレルギーショックで死亡する場合は、刺されてから1時間以内であることが多く、 一刻も早く処置しなければなりません。
スズメバチは巣に危害を加える外敵に向かって、捨て身で攻撃をかけてくるので、 スプレーなどの虫よけは全く役に立ちません。 スズメバチがそばに寄ってきたときの対処の仕方は、場合によります。一般的にいって、 攻撃性は巣に近いほど強くなります。基本的には、巣から離れて餌集めなどをしているハチが 向こうから攻撃してくることはありません。 例えば車にハチが入ってきても、絶対にあわてぬこと。つかみでもしない限り刺しません。 落ちついて車を止め、飛び去るのを待ちましょう。巣の至近距離に近づくと、偵察バチが敵の回りを飛んで警戒します。 このとき敵の正面で大あごをかみ合わせてカチカチという音を発することがあります。なんとも不気味なもので、 いうなれば最後通告です。すみやかに、しかしゆっくりと後ろに下がりましょう。 手で払えば確実に刺されます。ハチを殺したり、逃げ回ったりすると仲間を呼んでから攻撃してくるのです…。
音によって相手に警告するということは、 考えてみると面白いですよね。スズメバチの進化の過程において、その主要な敵は、 少なくともこうした音を聞くことのできる生物だったと考えられるからです。 彼らの毒がほ乳類に特異的に痛みを起こす成分を含むことも考えあわせると、 スズメバチの主な敵は、巣にいっぱいつまった幼虫をねらうほ乳動物なのでしょう。

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